ポスティングと郵便受け投函の法律論点を中立に整理|経営者・法務向け

商業チラシの郵便受け投函には、住居侵入をめぐる考え方や禁止表示の意思表示としての扱いなど複数の論点があります。公知の範囲で中立に整理し、企業が取るべき実務上の配慮とリスク管理の手順を解説します。

ポスティングは費用対効果の高い販促手段である一方、集合住宅や戸建ての郵便受けという「他人の管理する場所」に紙を届ける行為であるため、法務や経営の観点から一度は論点を整理しておきたいテーマです。とくに近年は、マンションの管理規約や掲示、個別の「チラシお断り」表示など、受け取り側の意思表示が明確になっているケースが増えており、現場任せの運用ではクレームや取引先からの指摘につながりかねません。

本記事では、商業チラシの郵便受け投函をめぐる一般的な法的論点を、公知の範囲で中立に整理します。具体的な事件名や判決内容、確認できない数値は扱わず、「どのような考え方の枠組みがあるのか」「企業としてどこに線を引くべきか」という視点で解説します。最後は、法務・経営層が社内ルールや委託先選定に落とし込むための実務上の配慮事項までつなげます。

目次

なぜ今、ポスティングの法的論点を整理する必要があるのか

ポスティング(商業チラシの郵便受けへの投函)は、地域密着型の集客手段として長く使われてきた一般的な広告手法です。新聞購読率が下がり、デジタル広告の費用が上昇するなかで、紙のチラシを直接届ける価値は依然として高く、飲食・不動産・学習塾・治療院・リフォームなど幅広い業種で活用されています。一方で、ここ数年は「法的にどこまで許されるのか」を事前に確認したいという法務・経営層からの問い合わせが増えています。その背景には、住宅事情と受け手意識の変化があります。

受け手側の「拒否の意思」が可視化されている

かつては黙認されていた投函も、現在は次のような形で拒否の意思が明示されるようになりました。

  • オートロック付き集合住宅の増加により、共用部への立ち入り自体が物理的・規約的に制限されている
  • 管理規約や掲示で「チラシ投函禁止」「業者の立ち入り禁止」が明文化されている
  • 郵便受けや玄関に「チラシお断り」「広告物投函禁止」のシールが貼られている
  • 防犯カメラの普及により、投函行為が記録として残りやすくなっている

つまり、以前は「気づかれない」「言われない」で済んでいた事柄が、記録と意思表示を伴って表面化しやすくなっているということです。集合住宅の管理規約と投函可否の確認手順を押さえておくことは、法務部門にとっても現場運用にとっても出発点になります。

クレームは「苦情対応」だけでは終わらない

受け手からの申し出は、単発の苦情処理として完結するとは限りません。経営・法務の観点では、次のような波及を想定しておく必要があります。

  1. レピュテーションリスク:SNSや口コミサイトへの投稿によって、地域内での評判が短期間で広がる
  2. 取引先・元請からの指摘:コンプライアンス調査や取引先アンケートで、広告活動の適法性について説明を求められる
  3. 委託先管理責任:配布を外部業者に委託していても、発注者として委託先の選定・指示・監督が適切だったかを問われ得る
  4. 業務停滞コスト:クレーム対応、経緯の調査、社内報告に人的リソースが割かれる

とりわけ委託先管理は、配布現場を自社で直接見られないぶん、契約書や運用ルールで補う必要があります。事後に「業者がやったこと」と説明するだけでは、社内外への説明責任を果たしにくいのが実情です。

法務・経営層が事前に論点を把握しておく意義

論点を先に整理しておくことで、社内の判断が属人的にならずに済みます。具体的には次の三つに落とし込むのが実務的です。

  • 社内ガイドラインの策定:投函してよい建物・避ける建物の基準、お断り表示への対応、配布時間帯などを文書化する
  • 委託契約への反映:禁止事項、報告義務、クレーム発生時の連絡フロー、責任分担を条項として明記する
  • 現場教育と記録:配布員への周知内容と、実際にどこへ配ったかの記録(GPS報告など)を残し、説明できる状態にしておく

この記事の立ち位置

本記事は、ポスティングが違法か適法かを一律に白黒つけるものではありません。建物の構造、掲示の有無や文言、立ち入りの態様、投函物の内容など、個別の事情によって評価は大きく変わるためです。ここでは、経営者・法務担当者が判断の土台として持っておくべき考え方の枠組みを、中立的に整理することを目的とします。実際に問題が生じた場合や、特定の配布計画について判断が必要な場合は、弁護士等の専門家に個別に相談することをおすすめします。そのうえで次章以降、立ち入り、お断り表示、広告表示と個人情報、責任の所在、社内実務という順に論点を見ていきます。

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論点1:建物への立ち入りと「住居侵入」をめぐる一般的な考え方

ポスティングの法的論点を整理するうえで、最初に押さえるべきは「投函という行為そのもの」ではなく、投函のために建物へ立ち入る行為です。商業チラシを郵便受けに入れること自体を直接禁じる一般的な法律はありませんが、郵便受けに到達するまでに敷地や共用部分を通る必要がある以上、立ち入りの適法性が論点になります。刑法上の住居侵入に関する一般的な議論では、保護の対象は住居の室内だけに限られず、建物の敷地や集合住宅の共用部分など、管理権が及ぶ範囲も議論の射程に入り得ると整理されています。ここでは判例や個別事件には触れず、あくまで論点の構造として押さえておきましょう。

判断の軸は「管理権者の意思に反するかどうか」

一般論として、立ち入りの可否を考えるうえでの中心的な観点は、その場所を管理する立場の人(所有者・居住者・管理組合・管理会社など)の意思に反する立ち入りかどうかという点です。したがって実務では、「物理的に入れるか」ではなく「入ってよいと認められている状態か」を基準に判断する必要があります。掲示による明示的な禁止、施錠、管理人による制止などは、意思が外部に表示されている典型例といえます。

場面ごとに状況は大きく異なる

  • 戸建てで門扉の外に郵便受けがある場合:敷地に立ち入らずに投函が完結するため、立ち入り自体の問題は生じにくい場面です。ただし「チラシお断り」表示があればその意思は尊重すべきです。
  • 戸建てで敷地内の玄関先に郵便受けがある場合:短時間であっても敷地内通路を通ることになります。門扉が開放され、来訪が一般に受け入れられている状態かどうかが判断材料になります。
  • オートロックのない集合住宅:エントランス内の集合郵便受けまでが事実上開放されていることもありますが、管理規約や掲示で投函を禁じている場合は入るべきではありません。集合住宅の管理規約と投函可否の確認手順を事前に整理しておくと判断がぶれません。
  • オートロック付き集合住宅:施錠は管理権者の意思が明確に表示された状態です。共用廊下まで入る行為はリスクが高く、原則として避けるべき領域です。

リスクが高いと一般に考えられる行為

  1. 他の居住者や来訪者の開錠に合わせてオートロックを通過する、いわゆる共連れによる立ち入り
  2. 施錠された門扉・柵を開けて敷地内へ入る行為
  3. 管理人や居住者から制止・退去を求められた後も配布を続ける行為
  4. 「チラシ投函禁止」と明示された掲示を認識しながら共用部へ入る行為

これらは、管理権者の意思に反することが外形的にも明らかになりやすく、法的評価以前に苦情・トラブルへ直結します。法務・経営層としては、配布現場の裁量に委ねるのではなく、「施錠・掲示・制止があれば入らない」という一本の行動基準を社内および委託先に共有し、判断に迷う物件は投函対象から外す運用にしておくことが、最も現実的なリスク低減策となります。

論点2:「チラシお断り」表示は法的にどう位置づけられるか

ポスティングの法的論点を整理するうえで、実務上もっとも頻度が高いのが「チラシ・広告の投函お断り」表示の扱いです。郵便受けに貼られた小さなステッカー、玄関脇のプレート、集合住宅のエントランス掲示板の貼り紙、管理規約の禁止条項——これらは法律そのものではありませんが、受け手や管理権者の意思表示として、行為の評価に影響し得るという点で軽視できません。

表示は「意思に反するか」の判断材料になり得る

一般的な考え方として、建物への立ち入りや投函が問題視されるかどうかは、管理権者・居住者の意思に反していたかが一つの軸になります。明確な禁止表示があれば「知らなかった」という説明は通りにくくなり、あえて投函した事実は意思に反する行為と評価されやすくなります。逆に表示が一切ない場合、直ちに違法と評価されるわけではなく、社会的に許容される範囲かどうかが個別に検討される、というのが公知の一般的な整理です。ここでの結論は「表示があるのに投函する」ことのリスクが相対的に高い、という点にあります。

射程が変わり得る3つの要素

  • 表示の主体:個別世帯の居住者が貼ったものか、管理組合・管理会社など建物全体の管理権を持つ主体によるものか。後者は建物全体に及ぶ意思表示として扱われやすく、共用部への立ち入り自体が問題になり得ます。
  • 表示の明確さ:「チラシ投函お断り」のように明示的な禁止文言か、「不要な広告はご遠慮ください」といった曖昧な表現か。前者は反する行為の評価が明確になります。
  • 表示の場所:個別郵便受けの表示は当該世帯のみ、建物入口や掲示板の表示は建物全体、と射程が異なると考えるのが自然です。ただし掲示板の貼り紙が古く、現在の管理組合の意思か不明なケースもあり、判断が割れる余地は残ります。

実務上の結論:争う前に「投函しない」

法的評価には幅があり、個別事情で結論は変わります。しかし経営者・法務の立場から見れば、争点化した時点でコストと評判の損失が発生します。したがって表示があれば投函しないという運用を徹底することが、最も合理的かつ費用対効果の高いリスク管理です。社内・委託先に落とし込むべきチェックポイントは次の通りです。

  1. 個別郵便受けのステッカー・プレートは、文言の強弱を問わず一律で投函対象外とする
  2. 建物入口・掲示板に禁止掲示がある集合住宅は、棟単位で除外リストに登録する
  3. 管理規約で禁止されている物件は、事前確認の手順を定めておく(集合住宅の管理規約と投函可否の確認手順を参照)
  4. 除外情報は配布員の記憶に頼らず、地図・リストとして共有・更新する
  5. 苦情申出があった住所・建物は、当日中に除外リストへ反映する運用を契約に明記する

表示の法的性質を細かく論じるより、除外リストを実際に機能させる仕組みがあるかどうかが、リスクの大小を決めます。委託先を選ぶ際も、GPSによる配布報告や除外リストの更新体制が整っているかを確認しておくと、後の説明責任を果たしやすくなります。

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論点3:投函物の内容・表示に関わる広告規制と個人情報の視点

立ち入りや「お断り」表示が配る行為の論点であるのに対し、ここで扱うのは配る物そのものの論点です。ポスティングされる商業チラシは、媒体が紙であっても広告であることに変わりはなく、テレビCMやWeb広告と同じ表示規制の対象になります。法務・経営層が最初に押さえるべきは、「誰が見ても検証できる根拠を、表示の前に持っているか」という一点に尽きます。

景品表示法:優良誤認・有利誤認と価格表示

チラシで最も問題になりやすいのが、実際よりも著しく優良だと誤認させる表示(優良誤認)と、取引条件が著しく有利だと誤認させる表示(有利誤認)です。実務上のチェックポイントは次のとおりです。

  • 効果・性能の表現:「劇的に改善」「必ず結果が出る」など、裏付けのない断定を避ける。効果に個人差がある場合はその旨を明記する。
  • 「No.1」「地域最安」などの最上級表現:調査主体・調査時期・対象範囲を示せない限り使わない。
  • 二重価格表示:「通常価格」として比較対象にする価格は、実際に相当期間販売した実績がある価格に限る。
  • 期間限定・数量限定:「今月末まで」と表示したなら、その後に同条件を継続しない。期間延長を繰り返すと有利誤認のリスクが高まる。
  • 比較広告:他社との比較は、客観的に実証された数値を、公正な方法で正確に引用する場合に限る。

特定商取引法・業種別の広告規制

チラシから直接申し込みを受ける形態(通信販売)や、訪問販売につながる勧誘を目的とする場合、特定商取引法上の広告表示事項(事業者名、所在地、連絡先、価格、送料等の負担、引渡時期、返品の可否と条件など)への配慮が必要になります。紙面が小さいからといって省略できるわけではなく、記載しきれない場合の扱いも含めて事前に設計しておくべきです。

さらに、業種によっては固有の広告規制が重なります。医療(医院・歯科・施術所)では表現可能な事項が限定的に定められており、体験談やビフォーアフター的な訴求には特に慎重さが求められます。不動産では物件の所在・面積・取引態様などの表示ルール、金融では手数料やリスクの表示、教育・学習塾では合格実績の集計方法など、それぞれに留意点があります。自社業種の所管ルールを一覧化し、チラシ原稿の承認フローに組み込むことが実務的な対策です。苦情を減らすチラシ表現の工夫とあわせて、原稿段階での確認を習慣化すると効果的です。

個人情報保護の観点:宛名なし投函と宛名付きDMの違い

ポスティングは原則として宛名を記載せず、エリア単位で郵便受けに投函する手法です。特定の個人を識別する情報を利用していないため、名簿を用いた宛名付きDMとは論点が大きく異なります。宛名付きDMでは、取得経路の適法性、利用目的の範囲内での利用、第三者提供の適否などが問われますが、宛名なしのポスティングではこれらの問題が生じにくい構造です。ただし、配布先の限定のために顧客リストや個人名を業者へ渡す場合は、その時点で委託先管理の論点が発生します。

広告主名・連絡先の明記は最低限の実務

チラシ面には、広告主の名称・所在地・電話番号など連絡先を明記することを社内ルール化してください。発行元が分からないチラシは、それだけで不信感を招き、苦情が業者側や無関係な第三者に向かう原因になります。あわせて「投函を希望されない場合のご連絡先」を小さく添えておくと、除外依頼を直接受け取れて次回以降の配布精度が上がり、トラブルの早期収束にもつながります。

論点4:クレーム発生時の責任の所在と委託先管理のポイント

ポスティングをめぐる法的論点の中で、経営者・法務が最も現実的に直面するのが「クレームが起きたときに誰が責任を負うのか」という問題です。商業チラシの郵便受けへの投函は、広告主(発注者)・ポスティング会社・実際に配布するスタッフという三者が関わるため、責任の所在は契約と実態の両面から整理する必要があります。

「委託したから無関係」とは言い切れない理由

配布行為そのものを行うのはポスティング会社およびその配布スタッフであり、一次的な履行責任は受託者側にあると整理されるのが一般的です。ただし、広告主が具体的な配布方法を細かく指示していた場合や、禁止表示のある物件への投函を事実上求めていた場合には、指示内容に応じた責任が問われ得ます。

さらに実務上重要なのはレピュテーション面です。苦情の連絡先は、チラシに記載された広告主の電話番号や店舗に入ります。「配布会社の責任です」という説明は住民には通用せず、対応の巧拙がそのままブランド評価に直結します。法的責任の分界と、社会的対応の責任は別物として設計しておくべきです。

委託契約で必ず確認したい条項

  • 禁止事項の明記:投函お断り表示のある郵便受け、管理規約で禁止された集合住宅、空室・長期不在宅への投函禁止など
  • 再委託の可否と範囲:どこまで下請けに出せるのか、下請け先にも同じ禁止事項が承継されるか
  • 報告義務:配布日・配布エリア・配布枚数の報告形式と提出期限
  • 苦情対応の分担:一次受付者、事実確認の手順、費用負担の考え方

詳細な契約上の切り分けは、発注者と業者の責任分担の考え方を踏まえて自社の契約書に落とし込むと整理しやすくなります。

クレーム対応の3ステップ

  1. 受付窓口を一本化する:広告主・配布会社のどちらが受けても、同じ記録フォーマット(日時・住所・内容・連絡先)に集約します。窓口が分散すると事実確認が遅れ、二重対応で不信を招きます。
  2. 投函停止リスト(お断り物件リスト)を共有・更新する:苦情のあった住所・建物は即日リスト化し、次回配布前に必ず反映。更新責任者と反映期限を決め、複数エリアを配布している場合も横断的に共有します。
  3. 再発防止の記録を残す:原因(表示の見落とし、エリア指示の誤り、下請けへの伝達漏れなど)と対策を記録し、一定期間ごとに振り返る。記録が残っていること自体が、誠実な運用体制の証明になります。

事実確認を可能にする配布報告の仕組み

クレームの中には、実際には配布していないエリアからの申し出や、他社チラシとの取り違えも少なくありません。こうした場合に、いつ・どのエリアを配布したかを客観的に示せるかどうかで、対応の質が大きく変わります。ポスティングくんではGPSによる配布報告で配布実績を可視化しているため、事実確認・誤解の解消・再発防止の記録という3つの場面でそのまま活用できます。責任の所在を論じる前に、まず事実を確認できる体制を持つこと。これが委託先管理の出発点です。

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論点5:法務・経営層が社内に落とし込むべき実務上の配慮事項

ここまでの論点は、社内の運用ルールに翻訳して初めて意味を持ちます。法務が把握していても、現場の発注担当や委託先に伝わっていなければリスクは残ります。以下のチェックリストを発注仕様書・委託契約の付属資料として整備し、担当者が代わっても同じ判断ができる状態にしておくことが実務上の要点です。

投函前に定めておく8つのチェック項目

  1. お断り表示物件への投函禁止の徹底:ポスト・玄関・掲示板に「チラシお断り」「広告投函不可」等の表示がある場合は投函しない。判明した物件は除外リストに記録し、次回以降も反映する運用にします。
  2. オートロック・施錠門扉・管理人常駐物件の扱い基準:解錠されていない建物には立ち入らない、門扉内に入らない、管理人がいる場合は許可の有無を確認する、という原則を明文化します。判断に迷う物件は「投函しない」を初期設定にしておくと安全です。集合住宅の管理規約の確認手順もあわせて共有しておくと現場判断がぶれません。
  3. 投函時間帯のルール:早朝・深夜は避け、日中〜夕方の常識的な時間帯に限定します。住民の不安感が苦情の引き金になりやすいため、時間帯の指定は契約書に明記しておきます。
  4. ポスト周りの作法:ポストから溢れさせない、先に入っている郵便物を引き出したり動かしたりしない、投函口に無理に押し込まない、雨天時は濡れたまま入れない。溢れた投函物は不在の可視化につながり、防犯面の苦情要因にもなります。
  5. 広告主名と問い合わせ先の明記:チラシ面に事業者名・所在地・連絡先を必ず記載します。差出人が不明な投函物は苦情が拡大しやすく、責任の所在も曖昧になります。
  6. 配布エリアと配布方法の事前合意:軒並み配布/集合住宅集中/エリア指定のいずれで配るのかを発注時に確定し、除外条件とあわせて書面化します。
  7. 配布報告の受領と保管:GPS等による配布報告や配布日・枚数・エリアの記録を受け取り、社内で一定期間保管します。後日の問い合わせに対し、いつどこに配ったかを事実ベースで説明できることが最大の防御になります。
  8. クレーム発生時のエスカレーションフロー:一次受付の窓口、業者への連絡経路、除外リストへの反映、再発防止の報告までを一本の流れとして定めます。誰が謝罪し誰が記録するかまで決めておくと初動が遅れません。

配布方法の選択がリスク低減と効率化を両立させる

配布方法の選択は、単なる効率の話ではなくリスク管理の手段でもあります。オートロック物件が多い地域では集合住宅集中よりエリア指定や軒並み配布のほうがトラブルが起きにくく、逆にファミリー層への訴求では管理が明確な集合住宅を選んだほうが無駄打ちが減ります。除外条件を先に固めておけば、配布員が現場で迷う場面そのものが減り、結果として苦情件数も抑えられます。

稟議を通しやすい見積り設計という視点

法務・経営層にとって見落としがちなのが、費用の予見可能性です。配布後に追加料金が発生する契約は、予算超過の説明責任が生じるうえ、コスト圧力が現場の品質低下を招く一因にもなり得ます。エリア・枚数・配布方法が明示され、追加料金が発生しない明朗会計の見積りであれば、社内稟議も通しやすく、配布品質と法的配慮を両立させた運用がしやすくなります。料金はエリア・枚数・時期により変動するため、あくまで目安として複数パターンを比較検討することをおすすめします。

まとめ:論点を押さえたうえで、安心して配れる体制をつくる

ここまで見てきたとおり、商業チラシの郵便受け投函をめぐる法律論点は、大きく4つの層に整理できます。第一に、建物内への立ち入りが管理権者の意思に反するものかどうかという問題。第二に、「チラシお断り」表示という意思表示をどこまで尊重するかという問題。第三に、投函するチラシの内容そのものに関わる広告規制や表示の適正さの問題。第四に、実際に配るのが委託先である以上、委託先の管理体制をどう確保するかという問題です。この4層のどこに自社のリスクがあるのかを分解して考えると、対策は具体的になります。

個別判断は専門家へ、運用は「争わない設計」で

個別の事案が法的にどう評価されるかは、建物の構造、掲示の有無や態様、配布の時間帯、繰り返しの程度など、具体的な事情によって左右されます。自社の配布計画について最終的な判断が必要な場合は、顧問弁護士など専門家への確認を前提としてください。そのうえで企業として最も費用対効果が高いのは、白黒を争う前提ではなく、そもそも争いになる状況をつくらない運用を設計することです。禁止表示のある物件を除外し、投函方法と時間帯のルールを定め、苦情の一次対応窓口を決めておく——これだけで、実務上のトラブルは大きく減らせます。

社内で回すための最低限のチェックリスト

  • 配布エリアごとに除外物件リストを作成し、配布後に更新しているか
  • 「チラシお断り」表示・管理規約による禁止物件を投函対象から外す運用が徹底されているか
  • チラシの表現が景品表示法や業種別の広告規制に照らして問題ないか、配布前にチェックする担当が決まっているか
  • 委託契約に、遵守事項・苦情対応・報告義務・再委託の可否が明記されているか
  • 苦情が入った際の受付から是正、記録までの流れが文書化されているか

あわせて、配布員教育と除外リストの実務まで踏み込んで委託先と共有できていれば、社内説明もしやすくなります。

配布実績が「見える」ことが最大のリスク低減になる

法務・経営層にとって不安なのは、「どこに、いつ、本当に配られたのか分からない」状態です。ポスティングくんではGPSによる配布報告をお出ししているため、配布ルートと実績を客観的に確認できます。苦情が入った際も、該当エリアの配布有無を事実ベースで確認でき、説明責任を果たしやすくなります。全国対応で、小ロットのテスト配布から大量配布まで対応可能。料金は追加費用のない明朗会計で、エリア・枚数・時期による変動もあらかじめ明示します。お断り表示のある物件や管理規約で禁止された集合住宅を除外したうえで、軒並み配布・集合住宅集中・エリア指定などの配布方法を組み合わせた設計もご相談いただけます(料金・反響はいずれも目安です)。

配布エリアの選定から委託管理の体制づくりまで、まずはご相談ください。配布エリアの無料査定・法人向けのお見積りを承っております。枚数や配布条件をお伝えいただければ、リスクに配慮した配布プランと費用の目安をご提案します。お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。


よくある質問(FAQ)

Q. 「チラシお断り」のシールが貼られた郵便受けには投函しない方がよいですか?
A. 受け手が明確に拒否の意思を示している以上、投函を避けるのが実務上の基本方針です。法的な評価は掲示の文言や態様など個別事情で変わり得ますが、クレームやレピュテーションリスクを避ける観点からは、お断り表示のある郵便受けは除外するルールを社内・委託先の双方で徹底しておくと安心です。当社でも配布員へお断り表示のスキップを周知しています。
Q. 配布を外部業者に委託していれば、クレームが起きても発注者は責任を問われませんか?
A. 委託していても、発注者として委託先の選定・指示・監督が適切だったかを説明できる状態にしておく必要があります。禁止事項やクレーム発生時の連絡フロー、責任分担を契約書に明記し、実際にどこへ配布したかの記録を残しておくことが有効です。当社はGPSによる配布報告で配布エリアを可視化しているため、社内外への説明資料としても活用いただけます。
Q. ポスティングの料金はどのくらいが目安で、トラブル対応の費用は別途かかりますか?
A. 料金は配布エリア・枚数・時期・配布方法(軒並み/集合住宅集中/エリア指定)によって変動するため、一律の金額は提示できませんが、まとめ配布や配布エリアの最適化、デザイン・印刷までのワンストップ化によって費用を抑えやすくなります。あくまで目安としてお見積りでご提示し、当社は明朗会計で見積り後の追加料金は発生しません。クレーム対応の連絡フローも事前にご案内しています。


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